神社にお参りし、社殿を見ても、素人の悲しさで、どこをどのように見たらよいのか分りません。また、文化財などに指定されている社殿については、役所が作成した解説を読むのですが、建築の術語だらけで、あまり理解できません。
それで、日本の古建築に関して、基本的な知識を得たいものだと思っていたところ、次の本を見つけて、読んでみました。
西和夫『図解 古建築入門―日本建築はどう造られているか』(彰国社、1990年)
古建築の典型的な3つのパターンについて、どのように組み立てるかを、ステップ毎にきれいな図を示して、簡潔に説明します。
例えば、第1のパターンである「平屋で天井がなく、屋根を構成する部材が見えるもの(法隆寺食堂)」の場合は、①基壇を築き、礎石を据える、②柱を立てる、③柱を水平方向につなぐ、④長押や窓の楣などを入れる、⑤柱の上に斗をのせる、⑦斗の上に梁をのせる、⑧叉首に斗と肘木をのせる、⑨桁を架け渡す、⑩桁に垂木を架ける、⑪野地板を張り、飛檐垂木を付ける、⑫前面に野地板を張り、破風を取り付ける、⑬瓦を葺く、の13ステップについて分りやすい図が示してあります。
典型的なパターンの建築の組み立て方を第1章で説明した後、第2章で「建築の構成と各部の様子」を解説し、第3章で古建築を6例挙げて説明しています。
本書を読んで、次のような感想等をもちました。
⑴ きれいな図を中心とした説明がとても分り易い。
⑵ 術語に丁寧にフリガナが付してある。
⑶ 巻末にしっかりした索引があり便利。
⑷ わずか150頁の本なので、短時間で繰り返し読むことができる。
⑸ これまで理解でなかった事項(例えば、組物、桔木など)が分るようになった。