社叢学会は、2002年5月、鎮守の森をはじめとする日本の森を学際的に調査・研究し、その保全と拡充を図ることを目的として発足したそうです(詳しくはこちらから)。その社叢学会が企画した、次の本を読んでみました。
上田正昭外『身近な森の歩き方―鎮守の森探訪ガイド』(文英堂、2003年)
本書は、その「まえがき」によると、「日本の森を再発見するためには、どのような観点から観察すればよいのか、またどのように考えて、どのように調査すればよいのか、その手引きとして編集された」ものです。
日本の森とりわけ鎮守の森を中心として、6つの顔すなわち①土地の顔(森をみつけよう)、②建築の顔(森に入ろう)、③植物の顔(草や木にふれよう)、④動物の顔(虫や鳥や獣を観察しよう)、⑤神々の顔(カミガミを感じよう)、⑥人間の顔(森を守ろう)にそくしての「日本の森の見方・調べ方」を示します。
本書は、付録として、「鎮守の森等の悉皆調査」と称するチェックシートを掲げています。本書の本文は、このチェックシートを理解し、運用するための解説書のようなものです。
このチェックシートは62項目から構成されているが、以下に、このうちの2~3項目を採り上げてみます。
12 境内地のなかの森等の種類(該当するものをすべてチェックする)
① 柵、標識等によって人々の出入りを禁じている森(「入らずの森」または「禁足林」) がある。 ② 人々が出入りを自粛している森がある。 ③ 森があるが特に人々の出入りを制限していない。 ④ 神殿の背後に木立ちがある。 ⑤ 過去に上記①~④の森や木立ち(「神体林」)があったが今はない。 ⑥ 「御神木」がある。 ⑦ 神殿や神体林の後背等に上記①~④以外の樹林があり、用材林、薪炭林、果樹林等の生 産林、水源涵養林、砂防林等の保安林、庭園林、街路樹等の風致林などとして活用されて いる。
54 附近の住民の協力や苦情(氏子を含む、該当するものをすべてチェックする) ① 森の清掃、植樹等に協力している。 ⑤ 賽銭泥棒が絶えない。 ② 社域内に不法駐車が絶えない。 ⑥ 道路や駐車場の要請が絶えない。 ③ 落葉の苦情が持ち込まれる。 ⑦ その他( ) ④ 日照妨害の苦情がもちこまれる。 |