小さい子供に、日本の神話を話して聞かせたいと思って、適当な本はないかと探していました。
・古事記を原文のまま読み聞かせるのは、どうみても子供が拒否
反応を起こしそう。
・古事記を口語訳したものを読み聞かせるのは、子供は全体像が
つかめず飽きてしまいそう。
・絵本などは面白くないので退屈してしまいそう。
そんな中、次の本を見つけて読んでみました。
伊東利和『日本の神話 親から子へ語り継ぎたい』(幻冬舎ルネッサンス、2008年)
本書を読んでの感想等は、次のとおりです。
○ 古事記の原文の内容のままでないところがあるが、ストーリーに一貫性がある。
○ 著者の独自の解釈と思われるところがあるが、小さい子供に読ませるには好ましいと思った。
○ 面白く読めて、たぶん小さい子供を退屈させないだろう。
○ 大人が子供に読み聞かせるための本のようだ。
○ 小さい子供が読むのには、もう少し活字が大きくし、また総ルビにした方がよいと思った。
以下に、本書から、高天原で行われた国譲りに関する神々の会議の様子を、引用してみます。
「力で人々を従わせる国津神の統治より、人と人との和を大切にし、お互いを信頼することによって治める天津神の方がすぐれていることは明らかだ」
「そうだ、地上の人々も天の統治を行うオシホミミ様が降臨した方が、幸せになれるはずだ」 「そうだ」 「そうだ」 「だけで、今、地上は大国主が立派に治めていますわ。彼は天の統治の仕方と同じ考え方で治めています」 実際にそうなのです。大国主は力で人々を無理やり支配しているのではなく、農業や医術の普及によって人々を幸せにすることで、穏やかに国を治めているのです。 「立派に治めているところ行って、『あなたたちの統治の仕方はおかしいから、私たちに国を譲りなさい』と言ったら、私たちが言いがかりをつけて国を乗っ取りに来たと相手は思うのではなくて?」 「たしかに、大国主の統治は立派だが、それはあくまでも彼自身が立派だからうまくいっているのであって、彼の兄弟は乱暴者だったし、彼の子孫が乱暴者で今後ひどい統治に戻らないとも限らないのではないか?」 「やはり、きちんとした天の統治を学んだ者が、地上を治める方がいいと思うな」 するとひとりの神様がいいました。 「もしかしたら、大国主が地上の国を統治している今だからこそ、天に国を譲ってもらうチャンスなのではなくって?」 「え~」 意外な発言に神々は驚きました。発言した神は続けていいました。 「大国主という立派な神だからこそ、私たちの考えをしっかりと説明すればわかったもらえるんだと思うわ。大国主以外の乱暴者が支配者だったら、いくら説明してもわかってもらえずに戦争になるんじゃないかしら」 「なるほど」 「そうだ、そのとおりだ」 |