ある本で引用されていた、次の本を読んでみました。
小野善一郎『あなたを幸せにする大祓詞』(青林堂、2013年)
著者は、湯島天満宮の神職です。本書は、大祓詞の解説書ではあるが、学問的な著作ではありません。著者の言によると、「伊勢神道」の教えを基として、解釈を展開しているようです。
本書は、124頁と薄い。活字が大きいので、読みやすい。また、総ルビに近く、振り仮名が振ってある。
以下に、本書を読んで印象に残った事項を記してみます。
私たちの祖先は、その神与の「清らかな心」に軸足を置いて我欲我見の異心を祓いながら国づくりをしてきた。自我の制御の問題は永遠の課題である。私たちの祖先は、その重要性を認識し、我欲を祓い日々、天つ神の「清らかな心」と1つになって、常に生かされていることに感謝してきた。
祓えは、我が国の神々の実在と、その神々に私たちがつながっており、私たちの本性もまた神性のものという確信から行われる。この信仰が祓えの神学の根本にある。
祓えとは、私たちの神性の本性が知らず識らずのうちに犯した罪や穢れによって覆われてしまうが故に、その罪・穢れを祓って捨て去り、清明の本姿に復することである。つまり、私たちの心を祖神の天つ神の御心に合わせて1つにする。
我欲我執の異心(本来の心でない自我の心)を祓った大本にある「神ながらの道」を説いているのが神道である。
「大祓詞」の奏上は、自ら天つ神をはじめとする祖神の御心と1つになり、その御心、境地を体認するところに妙味がある。そして、その御心を日々の日常生活の中で実現する。 |