数次相続で相続人の住所証明書が取れない

数次相続において、既に死亡した相続人を登記名義人とする相続登記の申請をするする場合があります。その相続人が死亡した時から何年も経過していると、住所証明書(具体的には、住民票の写し、戸籍附票の写しなど)を取得できないケースがあります。

 

既に死亡した相続人を登記名義人とする相続登記を申請する場合において、住所証明書が取得できないときは、どのように登記の申請をしたらよいか?例えば、次のようなケース。

Aの父は、10年前に亡くなり、母は7年前に亡くなりました。両親の子は、Aと妹との2人です。父にも母にも遺言書はありませんでした。父の死後、母が生きている間に、遺産分割協議はしていませんでした。父にも母にも、Aと妹の他に子はいません。Aも妹も結婚して独立しています。両親が住んでいた自宅は、空家で、登記は父名義のままです。Aは、事情があって、相続登記をする必要がありますが、妹との間で遺産分割協議が整いません。そこで、法定相続分で相続登記をすることにしました。

この事例の場合、登記申請は、2段階にする必要があります。

⑴ 父親の相続を原因とする登記

 ・相続人は、母親とAと妹との3人。

⑵ 母親の相続を原因とする登記

 ・父親の相続により母親が取得した持分は、母親の死亡によりAと妹とが相続。

 

父親についても母親についても、住民票の除票の写しや戸籍の除附票の写しは、市役所等で取得することができませんでした。従前の記事「住民票も戸籍附票も取れない」において、「被相続人の最後の住所」を証する書面(住民票の除票の写しや戸籍の除附票の写し)が取得できないという問題について記しました。

 

今回は、死者である相続人(母親)の住所証明書が取得できないという問題について記します。

 

一般に、相続登記の申請では、登記名義人になる相続人について、住所証明書(具体的には、住民票の写し、戸籍附票の写しなど)を申請書に添付します。

 

ところが、この事例では、上記⑴の登記に際し、相続人である母親の住所証明書を添付できません。どうするか?

 

このような場合、相続人である母親について、本籍で相続登記することを認めている法務局が多いようです。つまり、住所証明書の代わりに、死亡時の戸籍謄本(除籍謄本)を添付して、登記申請します。そうすると、登記簿上の登記名義人の住所には、本籍が記載されます。

 

上記⑵の登記に際しては、登記簿上の名義人(母親)の住所が本籍と一致するので、被相続人(母親)の最後の住所を証する書面を添付する必要がありません。

 

なお、相続登記の申請に当り相続関係説明図を作成する方が多いと思うが、この事例の場合において、相続関係説明図を作成するとき、母親の住所は、本当の住所を記入するのか、本籍を記入するのか?本当の住所ではなく、本籍を記入するのがよいようです。

 

今回採り上げたようなケースの場合は、管轄する法務局に、事前に相談するのがよいと思います。

 

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